ロット番号管理で在庫のずれが改善。
FileMakerCloudで作成された自社でカスタマイズ出来るWMS

企業名 :株式会社伝食
事業内容:カニ、海産物の店頭販売
                 カニ、海産物の通信販売
                 カニ、海産物の飲食店
                 カニ、海産物の水産加工

【概要】
以前利用していたWMSではロット番号での管理ができなかったため、商品のピッキングや
在庫管理といった部分に不安を抱えていた。また、自社ではカスタマイズが行えなかったため、
ピッキングリスト等のレイアウト変更にもコストが発生。

そこで、FileMakerCloudにてロット番号でも管理が出来るWMSを1から開発し、新倉庫への移転に合わせて運用を開始。その結果、倉庫業務の改善に成功。また、FileMakerで作成したことにより、現場からの要望をすぐに自社で修正出来るようになった。

今回は、導入の経緯を含めどのように業務が改善されたのか、FileMakerでWMSの作成を依頼された理由を担当の佐田さんに伺ってみた。

ロット番号でも管理できるWMS

– 今回、ロット番号で管理できるWMS作成のご依頼を頂きましたが、どのような
   理由だったのでしょうか

当社の場合、ロット単位で入数、仕入単価、仕入先が異なっている場合が多いんです。

例えば、「コーラ」という商品を販売していた場合、仕入先が「コカ・コーラ」だったり、
「ペプシ」だったりします。「コカ・コーラ」の場合は、入数が10だけど、「ペプシ」は
12という場合もあるのですが、以前のシステムは商品番号でしか管理が出来なかったため、
1商品に1つの入数しか登録することが出来ませんでした。そのため、入数を1で登録し、
すべてバラ計算で処理していました。ケース数が必要になったら、「システム上はバラ1000個で計算されているけど、今回のロットは入数が10なので、ケース数は100個かと。」いう風に手動で計算していました。

今回、ロット番号でも管理が出来るようになったことで、ロットによって入数が異なっていても登録できるようになったのがとても良いところです。

また、以前はロット番号がなかったのでピッキングリストには商品番号と数量しか表示されませんでした。そうなると、いざ商品を取りに行ったとき本当にそれであっているのかどうかが良くわからないんです。賞味期限もしっかり確認すればわかるんですが、荷姿だけだと同じ商品番号の商品がたくさんあるので、ピッキングリストに載っているのはどのロットなのか探すのが大変でした。

先ほどのコーラを例にすると、ピッキングリストにコーラ10本と表示されていても「ペプシ」なのか「コカ・コーラ」なのかどれを持っていけばいいのかわからないんです。どれでもいいので持っていくと、ロットごとの在庫がずれることになってしまいます。それをロット番号で管理することによって、ピッキングリストに「今回はこのロット番号のペプシのコーラを持って行ってください」と記載されているので、担当者も迷うなことなく商品を持ってくることが出来るようになりました。結果、ロット単位の在庫が合わないということも少なくなりました。

現場の意見を聞いてすぐに変更できるというのが凄く助かっています

– FileMakerで作成を依頼された理由を教えてください

日本ビジネス・サポートさんに依頼した理由と同じになってしまうんですが、「店舗アップ♪」の完成度が常々すごいと感じていたからです。他の店舗さんと話すときによく、何人で処理しているの?と聞かれるのですが、3,4人ですと答えるとすごく驚かれるんです。それでやっぱりこのシステムはすごいんだなと。大量一括処理や一元管理もしやすいので、データベースならFileMakerが一番向いていると思っていたからです。

あとは、思ったことを再現できるカスタマイズ性の高さ、完成度の高さも店舗アップ♪で十分に理解していたので、絶対にFileMakerで作ろうと思っていました。また店舗アップ♪がFileMakerなので、今後のことを考えるとFileMakerで作ったほうが連携しやすいと考えていたというのもあります。あと、機能を依頼するときに店舗アップ♪のあの機能が欲しいんですと、説明しやすいのもよかったです。意思疎通がしやすいと言いますか。

– FileMakerのカスタマイズ性の高さをあげて頂きましたが、ご自身でもカスタマイズされているのでしょうか。

苦戦しながらもカスタマイズしています(笑)
FileMakerの良いところというのは開発にそこまでハードルが高くないところです。
もちろん難しい所もたくさんありますが、作ってもらったスクリプトを見ながら、
ここを変えたらこんなことも一緒に出来るかなとか考えています。

やっぱりシステムって日々日々販売方法によって変化していくものだと思っているので、
簡単な変更であれば自分たちで行っています。

– 打ち合わせの際にレイアウトも好きに修正したいというお話がありましたが、
  レイアウト修正も行われているのでしょうか。

レイアウトも結構カスタマイズしています。ピッキングリストの「この項目の字が小さい」とか、「なんでこの項目がないの?」と言われた時にすぐに修正出来るのが良いです。自分では必要ないと思っていてもあったほうがいいという意見があればすぐに修正しています。

現場の意見を聞いてすぐに変更できるというのが凄く助かっています

–  佐田さんが現場から言われてすぐに修正しているのですか?

すみませんって言って(笑)

– 導入後の効果についてお聞かせください。

システムの在庫と現物の在庫の一致率がものすごく上がりました。
以前のシステムでも入庫日順で在庫自体もロットは分かれていたんですけど、ロット番号がなかったので、先ほどもお話したようにピッキングの際にあっているのかどうかわからないまま商品を取ってくる感じになっていました。そのため、システムの在庫が500個となっていても本当にあるのか?と不安を抱えていました。実際に現物を見に行くとやっぱり少しずつずれていることが多々ありました。

その辺が今のシステムになって自信が持てるようになりました。
システムで500個あるのだから、現物も500個あるでしょと。ヒューマンエラーだったり、その日の在庫の処理忘れなどで合わない時もあるんですが、そういうのを抜きにしても大幅な混乱を招くほどの在庫のずれというのはないです。

– その他良くなった部分などはございますか。ピッキングの速度が上がったとか・・・

システムを変えたことによっては・・・それが一番ですね。
ピッキングのスピードについては倉庫が変わっているので比較が出来なくて・・・。(※)

(※)新しい倉庫への移行と同時に、システムも移行。

– かなりピッキングのしやすさを考慮された作りになっていましたからね。
  それでは、FileMaker Cloudを利用してみての感想をお聞かせください。

今は事務所だけではなく実店舗でも在庫を見たりしていますし、本社の管理部の人間、大阪の責任者が見ていたりします。当社は大阪や東京にも店舗があるんですけど、そこの方が在庫を確認し、「この分を東京に送ってください」といったことも行っています。リアルタイムでどこからでも確認できるのは嬉しい環境ですね。店舗アップ♪は通常のFileMakerなので現場に行かないと見ることは出来ませんが、FileMakerCloudはすごい便利です。FileMakerCloudだから遅いということもないです。(※)

(※)FileMakerCloudでも動作が遅くならないように開発しました。

冷凍庫での作業時間を減らしていきたい

– 今後、追加したい機能を教えてください。

冷凍庫内(マイナス30℃)での作業時間を減らすために、タブレットで在庫のロケーション変更を行えるようにしたいです。

ロケーション変更って自分の倉庫だけどめんどくさいんです。荷物を動かしたらロット番号と場所を書くだけなんですが、マイナス30℃の冷凍庫はそれすらも煩わしく思えてしまう過酷な環境なんです。それをタブレットで誰かに言わなくても、書かなくても変わっている状態にしたいです。

やっぱりロケーション管理がしっかりしていないと荷物を探す羽目になります。システムではここになっているけど、行ったらないとか。探す時間というのは疲弊にもつながりますし、
何も生みださないので、行けば必ずあるという状況を作るためにはタブレット対応が必須なのかなと思っています。

さっきも言った通り本来はきちんと報告すればいいだけなんですけど、自分で変更した時も
「来たらわかるし、いいだろう」と思ってしまうんです。ですが案外探してしまうものなんですね。実はすぐ後ろにあったなんてこともありました。

他にも棚卸や出庫、入庫もタブレットで行いたいですね。繁忙期には、1日の60%~70%(約5時間)は冷凍庫にいるので、それを減らすことが目標です。